Report 5

 
「関連イベント 親子アートツアー / ガイド・北沢昌代(聖徳大学講師)」
2011/11/20
text by necojitan
photo by 小林光敏

 
松戸アートラインでは子どもにもアートに親しんでもらおうと、子どもと一緒に参加できる「親子アートツアー」も開催されています。ここでは11月20日に行なわれたツアーの模様をお伝えします。

 

参加してくれたのは2組の親子でした。ポカポカ陽気のなか、ツアーに出発!同行して下さるのはツアーの企画をしてくださった、聖徳大学の北沢先生です。子どもが手にしているのは、北沢先生が作った「こどもあーとたんけん」ワークシート。作品をじっくり見るためのクイズ形式になっています。(こちらのシートはMAD City Galleryや展示会場にて配布しています)


 
 
子どもは大人に比べて好奇心旺盛で、色々なモノに興味を持ちます。北沢先生は、子どもが作品と向き合えるようリードし「次は何があるかな?」といった声掛けをするなど、次々と興味を引き出していきます。また、作品に名前をつけるよう働きかけることで、子どもと作品の距離を縮める手助けにもなっているようでした。親子アートツアーは、11月26日(土)13:00~も開催します。

展示会場でのひとコマ


 
 
会期中は、大人向けのアートツアー(午後1時、2時、3時)もMAD City Galleryから出発しています。各会場では、作家さんによる解説を受けられることもあり、参加者からは「来て良かった!」と好評です。作品とともに松戸のまち歩きも楽しめるツアーに是非お越しください。松戸アートラインに興味を持って頂けるみなさまにお会いできることを、一同楽しみにしております。

 

 
執筆者

necojitan
1985年生まれ。松戸市在住。普段は店舗ディスプレイ案作成、内装施工などの空間演出デザインを手掛けています。

 
 

「結びの宴 / 結いの会」
2011/11/19
text / photo by necojitan

 

 

「結いの会」さんの展示会場は日発ビル5階。着物の帯を使った色とりどりのオブジェを展示し、見る人の目を楽しませています。赤や黄、金といった秋らしい色合いでお客さんを出迎えます。展示は題して「結びの宴」!


 
 
季節の花々をモチーフにした作品などが並んでいます。


 
 
作品は基本的に使われなくなった着物の帯をつかった「帯アート」。大小に寄せたひだが、まるで本物の花のような陰影を生み出しています。


 
 
個性豊かな作品群の中でも異色だっていたのがこの作品。突き出た2本の帯が、耳や角のようです。小さくかわいらしい口もついています。


 
 
花の芯はなんとモールで出来ています!窓からの光も相まって、桜の艶やかさが際立つ作品です。

会期中展示物をこまめに並び変えているため、何度行っても新しい発見があります。まだ観ていなかったかたも、一度観ているかたも、是非会場に足を運んでみてください。

 

 
執筆者

necojitan
1985年生まれ。松戸市在住。普段は店舗ディスプレイ案作成、内装施工などの空間演出デザインを手掛けています。

 
 

「大成哲雄(大成哲雄+聖徳大学大成ゼミ)インタビュー」
2011/11/19
interviewer / text by 吉野元春
photo by KJ
 

 

ー現代の百鬼夜行

大成「百鬼夜行絵巻」は土佐光信が描いたと言われる絵巻物です。ここに登場する妖怪の中に、使われなかった物が妖怪になるというものがあります。付喪神という妖怪です。人の手を離れて、忘れられた日常の道具や物が生命を得て勝手に動き出す。

インタビュアー(以下、「I」):子どもの頃に百鬼夜行のモチーフは漫画で読んだりしました(笑)。現代になっていよいよ、忘れられていく物の量はとても多くなっていますよね。

大成:そうですね。現代は物が大量に使い捨てられる時代です。展示会場の候補の場所をいくつか見て行くなかで、松屋にはたくさんの物があるのを目の当たりにしました。

I:これらは全てここにあった物ですか?

大成:大部分はそうですね。あの絵巻(「百鬼夜行絵巻」を模した写真展示)はここにあった物で作りました。それらを組み合わせて作った妖怪を写真に撮って、ここに並べてあるんです。掃除をしながら妖怪になりそうなものを選んでおいたんですね。それを大学に持ち帰って手足をつけたり、こういうジャンクフィギュアみたいなものを秋葉原で買って来てさらに付け加えたりして。秋葉原に行くと、もうバラバラで売られているんです、手足が大量に袋に入って。

I:手、とか、脚、とかの部位ごとに。

大成:いえ、女の子のフィギュアが、組み立てられて入っているものもあるけど、バラバラになって入っているものもあるんですね。これは使えるだろうなと思って。そういうものだったり、この場所にあった物だったりを組み合わせて作っていったんです。

I:今回、制作にあたってどういうことを考えていらっしゃったんですか?

大成:これはオープニングレセプションでお話ししなかったことですが、今回の展示を震災に関連付けると……津波の襲った場所では「物」が全て流されてしまった。それを人々が探しに行っている。思い出のあるもの、写真や、あるいはかつての日常の品を拾い集めている。物と人というのは凄く深く関わっているんです。そうやって考えてみると、我々の生活は本当に色んな物に溢れている。道具として使ったりとか、様々な関わり方がある。そういう漠然とした物と人との関係を改めて考えたいなと思って、今回はこの展示をやっています。

 


 

 
ー 妖怪を作る。物と遊ぶ

大成:展示の棚の中身なんですが、写真の絵巻に登場する妖怪は松屋にある物の中から選んだ物を組み合わせて作っています。それを解体して個々の物に戻して、この棚に置いているんです。

I:物が妖怪になり、妖怪が解体されて、物に戻る。

大成:手足を付けて妖怪にして、その手足を取って、物に戻してある。あの絵巻にある黄色い車とか。この棚に置いてあるものが、実はあの絵巻の中に隠れているんです。

I:いったん忘れられたものが付喪神としてキャラクターになる。それがもう一度解体されて、物に戻る。往復する。輪廻でしょうか。そう言うと大袈裟な感じもしますけど。

大成:この絵巻が一種のファンタジー。こっちの棚は現実の世界と言うか。現実にあるものから、イマジネーション・ファンタジーに移行する。これは土佐光信の描いた絵巻物でも同じだと思うんです。妖怪を実際に見たわけでなく、そこにあるものからイメージを膨らませる。日本には、あらゆる物に精霊や神が宿るという考え方がありますよね。

I:樹木や山や土地なんかも神になる。

大成:子どもたちも同じような発想をするんです。それでワークショップをやっているんですが、本当に面白い子がいます。例えば、この大きな時計にひたすら物をくっつけていくんです。自分で選んできて、お母さんと一緒になって付けていく。それでずっと遊んでいるんです。もうすでにそこに、何か世界を見ているんだと思う。友だちのように感じているんじゃないかな。

そうやってワークショップをやるうちに段々と、この作っている行為、ワークショップそのものが面白いと感じるようになりました。この感覚は子どもの時の遊びなんです。模型の飛行機を手で持って飛ばす真似をしたり、ああいったことの延長にある。子どもだけじゃなくて大人も楽しめるというのは、その感覚を、この体験を通じて呼び覚ますのかな、と。

I:ごっこ遊びめいたところはありますよね。ごっこ遊びだと自分の身体を使って世界に入っていく所を、ここでは外部にある物を使っている。

大成:面白いのは、家に帰ったら同じようにやってみようという人がいるんですよ。そんな遊びがあったのか、って。そういうふうに、自分の身の回りにある物に対して、これまでと違う感覚が生まれるといい。家に帰ってやってみようという人が出て来るのも、それまで閉じていた回路が開かれたんだと思うんです。

I:見過ごされがちな身の回りの物にもう一度眼を向けてみようと思います。本日はありがとうございました。

 
 

  ※詳しい活動内容は「せいとくアートランダム」(http://seitokubi.exblog.jp/16723107/
  をご覧下さい。
 

 
執筆者

吉野元春
横浜市戸塚区在住。かつてトゥール・ポワティエ間の戦いが起こった10月10日に生を享ける。尊敬する人物は吉本隆明と古井由吉。

トップへ