Report 2

 
「19時から21時のHobbyScramble / 中島佑太」
2011/11/07
interviewer / text by ヤギワラ
photo by KJ

 
Hobby Scrambleとは住民とアーティストが趣味を通して交流し、作品を協働で作るプロジェクト。懐中電灯を持って松戸の夜へ出かけるミステリーツアーを通して、ベッドタウン松戸の平日夜の時間を共有し、地域の趣味と関わる糸口を見つけ出す。

 

ぞろぞろと仕事を終えた人々が帰宅する時間帯、夜の19時に伊勢丹松戸店前広場に集合しました。集合したのは、アーティスト中島佑太さんが企画する松戸ミステリーツアーに参加するため。(なんとこの企画だけ、平日夜に行われているんです!)事前になんの目印も知らされず広場に行ってみましたが、一目で集合場所を認識することが出来ました。なぜなら、そこに待ち構えていたツアーフラッグは「一反もめん」。すでにこのツアーが謎めいていることがわかります。

アーティスト中島佑太と、そのアシスタントの青木さん、そしていったんもめん。


 
 
一通りお互いの自己紹介を終えた後、さっそくツアー一行は松戸の闇夜を求め歩みを進めます。松戸駅前を通りすぎ、市内を流れる坂川にかかった一平橋の上で立ち止まる。川の近くに住んでいない限り、夜の川を見ることはそんなに多いことではありません。両脇の住宅の明かりに反して川は深黒く重く、なにかもう一つの違う世界がそこに映し出されているようでした。

一平橋から坂川を眺める。


 
 
当日は、そらに雲が多く、街の明かりが反射して少し明るい夜でした。そんな少し明るい夜空を楽しんでいたとき突然、今回のアートラインでいつの間にかアーティスト中島さんのアシスタントを務めている地元住民・青木さんが「この場所、昔から空き地なのよね〜」とその空き地を突き進みます、さすが地元民。それを追いかける右手の「いったんもめん」、ある意味、青木さんと「一反もめん」のコンビが一番ミステリーなのではないかと、他のメンバーは口に出さずも認識した瞬間でした。

一反もめんに先導されながら夜道を歩む御一行様。


 
 
一通り闇夜を散策し終わり、少し歩き疲れたなと感じはじめたとき、ある秘密の場所へと、案内されました。そこには、いいにおいが漂い、外の冷たく鋭い空気とは違い、とてもやわらかくやさしい空気に満たされていました。そこでの明かりも懐中電灯の明かりだけ、普段の生活では明るい夜を過ごしているのだなと、ふと思いました。
 
 
最後に、アーティスト中島さんの会場である鈴木ビルへ移動し、作品の解説をしてもらいました。中島さんは、松戸アートラインプロジェクトに関わることにより、アーティストとして松戸という街に何を残せるのかを真摯に考えています。ミステリーツアーの参加者と意見を交換しあいながら、プロジェクトの会期だけではなく、もっと長い時間で自分は何が出来るのか、と考える姿がとても印象に残りました。

こちらが終点。中島さんの展示会場。

 

 
執筆者

ヤギワラ
根室→函館→シンガポール→スイス→トルコ→イラン→ドバイ→インド→ネパール→チベット→中国→松戸。遠回りをして松戸に到着。

 

「生きる身体 つながる心 / 田嶋奈保子」
2011/11/05
text by necojitan
photo by KJ
 

11月5日に行なわれた田嶋奈保子さんによるライブペインティングの模様をお伝えします。まずはキャンバスに松戸市の地図をあて、そのかたちを写し取っていきます。


 
 
次に色水のたっぷり入ったバケツから、モップを使って色をつけます。初めは赤。


 
 
途中から青も使って、さらに塗っていきます。お客さんも食い入るように見つめています!


 
 
そしてなんと!顔に絵の具を塗りはじめた田嶋さん。その動作はまるでお化粧をするかのようです。。


 
 
顔をキャンバスにこすりつけて絵を描いていきます。途中何度か絵の具を塗り直して、またキャンバスに向かっていました。


 
 
全身を使って描く田嶋さん。


 
 
完成直後の写真です。この後、会場は撮影会と化していました!
このほかにも、会場となっている日発ビル6階には、これまでの作品や今回の展示のために制作したものなどが並べられています。ペインティングと併せてご覧ください!

 

 
執筆者

necojitan
1985年生まれ。松戸市在住。普段は店舗ディスプレイ案作成、内装施工などの空間演出デザインを手掛けています。

 

「民藝としてのラップ / OJA a.k.a. son of GEN」
2011/11/05
text by 吉野元春
photo by KJ
 

11月5日。薄曇りのなか開幕日を迎えた松戸アートラインプロジェクト。駅西口のデッキに設置された特設テントの前でライブパフォーマンスを始めたのはOJA a.k.a son of GEN さんです。フェアトレードコーヒーで知られる松戸・八柱の「スローコーヒー」経営者という本職をもつ彼がラップをはじめたのは2001年とのこと。「9.11」の事件をきっかけに、世の問題に自分自身も声をあげていこう、と思いたったのです。

OJA a.k.a son of GEN


 
 
もともとヒップホップ好きだった彼は、1年に1曲、自分の思いを込めてリリック(歌詞)を書き溜めるようになりました。特にラッパーを名乗る訳でもなく、はや10年。溜めに溜めた曲の数々を一市民の表現として披露するとともに、自分だけでなく松戸を行き交う人々の思いを集めた新曲を作るという野望を秘めて、この松戸アートラインプロジェクトに参加しているのです。(なお「コーヒーはもちろんヒップホップ。黒い。」との本人談)

DJ KINのこの笑顔!


 
 
さて今回のパフォーマンスは、OJA a.k.a son of GENさん、さらに彼の盟友である八柱のオーガニックレストランCAMOOの店主、ターンテーブル担当のDJ KINのDJにより行われます。KINさんがレコードを回し始めて、人々が黙って行き交うだけの松戸駅西口デッキの雰囲気は少し異様なものになりました。足を止める人はまだいませんが、みな横目に通り過ぎて行く状況。それにも関わらずOJA a.k.a. son of GEN さんは満面の笑顔。恐ろしい男です。


 
 
 
いよいよOJA a.k.a. son of GENがライブを開始。曲目はというと、どれも干支ごとに曲があって、タイトルも干支にちなんでいるのです。一曲をご紹介しますと「戌年の歌~ワン~」で聞き取れたのはこんな一節。「アオーンアオーン」「I am the only one 」「そろそろ自分で歩き出そう」「これが俺らのワンワンワン」。……上手い下手以前に、人間・OJA a.k.a son of GENを感じさせるMCは、とにかく小っ恥ずかしくなるほどに熱い!


 
 
 
20分程度のパフォーマンスのなかでは他にも「酉年の歌 ~取り戻して欲しい~」「兎年の歌 ~脱兎のごとく~」「丑年の歌 ~モォーそろそろ~」が披露されました。聴衆をロックする、とはさすがにいかず微妙な雰囲気が続く松戸西口デッキに、少し離れたところからも歌声……が聞こえてきます。某おじさんが真っ赤な顔で、曲に合わせて……吠えている。「いいぞーやれー」「その通りだー」酔っぱらいによる、これはまさにコール・アンド・レスポンスです。なぜか超自然的に共感の輪が広がっているのです。名前を尋ねると「たこちゃん」とのこと。事実上、この時点からライブはOJA a.k.a son of GEN、DJ KIN、そして「たこちゃん」による三人衆によるパフォーマンスになっていました。


 
 
 
全4曲を終えたOJA a.k.a. son of GENさん。にやにやと笑いながら歩き過ぎていく若い女性や、やや離れた喫煙所から怪しむように見つめるサラリーマン、眉根にしわを寄せるおじさんに緩く取り囲まれながらMC。「son of GENという名前ですが、僕は『はだしのゲン』という漫画が大好きで、その主人公ゲンの息子という意味合いを込めてます。みなさん読んでみてください。たぶん生きる元気が出てくると思います」あんた絶対ゲンの息子じゃない、というツッコミは野暮でしょう。

 

続いて人々から歌詞を集めるワークショップをはじめるOJA a.k.a son of GENさん。松戸をテーマに歌詞を考えてくれ、というOJA a.k.a son of GENの呼びかけに10人以上の通行人がメッセージを寄せてくれました。一人の男子高校生に至っては、OJA a.k.a. son of GENさんの話を遮って吠え出しました。大人しそうな外見と裏腹に熱いメッセージを感じずにはいられません。「ヘイ!エヴィワン!スタンダップ!スタンダップ!!オウイェイ!ウィアブラザー!イエス、オウケイ!ヒアウィゴウ!!イェイ!」まるで分かりませんが熱すぎる。一体どうなっているのか。OJA a.k.a son of GENさんは満面の笑顔で「これは素晴らしいリリックだね」とコメント。

その他、前述の「たこちゃん」、なぜかサングラスとキャップにオールドスクール顔負けのスリムなジーンズ姿でシャドーボクシングを続けるおじいちゃん(明らかにこの方もアルコールが入っていました)、なぜか集まったメンバーがカードにリリックを書き込んだワークショップも無事終了です。なお集まったこの歌詞をもとにOJA a.k.a. son of GENさんは「松戸のアンセム(応援歌)」を制作し、松戸市に提出する予定とのこと。

なお次回のライブでは、出会った仲間を引き連れてさらにパワーアップした姿を見せたい、という思いを語ってくれたOJA a.k.a son of GEN。とにかく(文字通り)一見する価値があるパフォーマンスでした。

※次回パフォーマンスは11/19(土)14時~@MAD City Galleryになります。18時以降にはアフターパーティーもあり。

 

 
執筆者

吉野元春
横浜市戸塚区在住。かつてトゥール・ポワティエ間の戦いが起こった10月10日に生を享ける。尊敬する人物は吉本隆明と古井由吉。

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